第209回 10月18日
なんだろう、このもやもやした気持ち。
終わったのに、すっきりしないこの感じ。
夏も終わり、季節はすっかり秋になった。
お昼はまだ過ごしやすい季節だが、朝と夜は冷える。
でも秋と冬は好きな季節である。
空気がすっとしててなんだか感傷的な気持ちにさせられる。
6月に行くはずだった実習がのび、半年ぶりに地元に帰る。何にも変わってない駅に降り立って改札を抜け、右斜めの大きなビルを見た。
8月31日の今日、唯一のデパートSOGOが閉店した。
最後に立ち寄ったのはいつだろう。中学の時はよく駅に遊びに来てったっけ。
紀伊国屋が大好きだったあの頃を思い出す。
徳島って子供だけで遊べるところないんだよなあー。
岡山に居ると忘れがちになるが、徳島は確実に小さな小さな町になっている。
帰るたび、こんな窮屈なところだったかなと昔を思い出してみる。
5人で住んでいたあの家はすっかり3人での生活に慣れている。
自分の部屋が妹の荷物を置く場所に変わっていて、私が家で過ごす場所はずっとリビングである。あの時みたいな賑やかさはもう無い。
高校生だったころ、最後だからとよく学生だった自分を大事にしてたけど、大人になるにつれて、家も家族も変わるとは思っていなかった。
実習が始まるまでの2週間、朝ごはんを食べて昼ご飯を食べ、おばあちゃんと水戸黄門を見たあとに晩御飯を食べる。ちかくのショッピングモールまでおばあちゃんとお散歩に行って、お風呂に入る。
家でのーんびり過ごす。
大好きだった高校は、居心地が悪くなっていた。
変わったものも変わらないものも多い。
私がお世話になった先生は、ほとんど居なかった。もう連絡してまで会う仲ではなくなっている。いつか多分会って話す日がくるんだろうな、とは思う。
その時がきっと自分のことを話すタイミングなんだと思う。
先生と呼ばれることは、思ったよりも違和感ではなかった。
というかなかなか呼ばれないのが実際である。
教室に入ると、おとなしそうな生徒によく目がいってしまう。
いつもちりとりでごみを集めている子。
スマフォばかり触っている子。
多分あの子は昔の自分なんだろうなと思っていた。
よく話しかけてくれた生徒には、やっぱり想いが残る。
自分を慕ってくれるのはとても嬉しい。もしこのブログを読んでくれていたら(きっと読んでいることはないんだろうけど)、SNSや連絡先の交換はできないんだー。
ごめんね。
あの頃の自分はこんな風に写っていたのだろうか。
ずっと行きたくてでも避けていた、恩師の珈琲屋さんにお邪魔した。
相変わらずの細さ。
少年みたいなTシャツ。おしゃれなメガネ。
珈琲が好きで豆を自分で焙煎してたのは知ってたけど、まさか仕事にするまでとは思っていなかった。でも先生をころっとやめてそうな感じだった。
初めて先生が淹れてくれた珈琲はとってもおいしい。
お土産にあげた吉備団子は、気に入ってくれたかな。
そして、教育実習の研究授業はいまいちだったのである。
それが思ったよりも響いている。後悔はないけれど反省は残る。
やり直したい気持ちはあるけれど、二度と研究授業はしたくない。
授業を聞いてくれている子はよくわかる。目が合うし、聞いてくれる子ほど成績もいい。数学は女子はほとんど平均的にできるけど、抜きん出てできるのはやっぱり男の子が多い。
大学を卒業すると徳島に帰るものだとばかり考えていた。
私は徳島が好きだし、何よりおばあちゃんがいる。
でも母さんもおばさんもずっと徳島に居るのである。
まだ岡山に残ろうかな。
徳島に帰ってきてほしい。おばあちゃんに初めて言われた言葉だった。
帰ってもいい、絶対に帰りたくないわけではない。
でも帰っても私はあの家で住むことはできないと思う。
帰るとしてもあと一年岡山に残って、母さんとおばさんの様子を見てもいいように思う。
私はずっと近くに誰かがいないとダメなんだと思っていた。
自分のすぐそばにいてくれるから、がんばれるんだろうなと思っていたけれど、多分いまはそうじゃない。
岡山に戻ってからは、なぜか一日休みの日が一回もない。
スケジュールを組むのが絶対下手である。ごろごろしたいし、部屋の掃除もしたい。
衣替えもしたいし、卒論の勉強もしたい。
あと半年もなく、大学を卒業してるのが全然想像できない。
袴選びにいかないとなー。袴着て倉敷で写真とりたーい。
3月に買った写ルンですは、27枚きっちりシャッターを押した。
たしかに撮り終わるとどんな写真が撮れているのか割と楽しみになった。